低血糖症とアドレナリン
低血糖症になると、インスリンの過剰分泌が起こるようになり、血糖値が下がり過ぎるようになります。
これゆえ、インスリンの過剰分泌による血糖値調節異常のことを低血糖症と呼びます。
下がり過ぎた血糖値を上げるため、生体は血糖値上昇ホルモンとしてグルカゴン、アドレナリン、糖質コルチコイド、チロキシン、成 長ホルモンなどを分泌します。
通常の糖代謝においては、血糖値調節はインスリンとグルカゴンで行っていますが、血糖値調節機能が乱れると、普段血糖値調節に使っていないホルモンまで動員されるようになるのです。
このうち、カテコールアミンの一つであるアドレナリンが分泌されると、血糖値上昇の他にも様々な症状が現れます。
元々アドレナリンは、生体に危機的状況が生じた時、危機から脱出するために分泌されるホルモンであり、闘争か逃走か (fight-or-flight)のホルモンといわれています 。
その作用は血糖値上昇作用のほか、主に交感神経を刺激して全身に様々なストレス応答を起こします。
・心拍数の上昇や血圧の上昇
・心臓や骨格筋の血管拡張と皮膚や粘膜の血管収縮
・消化管運動の低下
・中枢神経の興奮作用
などです。
必要な時だけアドレナリンが適量分泌するのなら、何ら問題はありません。
しかし、低血糖症になると、ほとんどいつもアドレナリンが分泌され続けてしまうので、常に興奮状態になってしまいます。
そのため、休息時に働く副交感神経とのバランスが乱れ、様々な不調が起こってきてしまいます。
これを、自律神経失調症といいます。
夜寝つきが悪い、動悸、息切れがする、夜寝ても疲れがとれない、お腹の調子が悪い、便秘がち、気分の波が激しい、ちょっとしたこ とですぐに落ち込む、などなど、本当に多彩な症状が現れます。
消化管の活動低下が胸焼けや胃もたれ、逆流性食道炎などの症状を起こしてくることもあります。
でも、これらは全て低血糖症によってもたらされているのです。
ですから、ガスター飲んでも治りっこありません。
低血糖症が万病のもとであるという理由の一端がお分かりいただけたでしょうか?