医療法人社団楡樹会 稲毛エルム歯科クリニック

予防歯科 一般歯科 矯正歯科
小児歯科 インプラント

当医院は自由診療・自費診療専門の歯科医院です

〒263-0043 千葉県千葉市稲毛区小仲台7−2−1マルエツ稲毛店2F

【受付時間】10:00~12:30/14:30~19:30 ※土曜は10:00~12:30/14:30~17:30 木・日・祝祭日休診

受付時間外は基本的にはお電話はつながりません。

お問い合わせ・ご相談はこちら

043-255-8341

お問い合わせフォーム

単糖の代謝


糖質は消化され、単糖まで分解されてから吸収されるんでしたね。
単糖にはさまざまな種類がありますが、我々が主に摂取している単糖はグルコース(ブドウ糖)、フルクトース(果糖)、ガラクトースの三種類です。
これらは吸収後の糖代謝に違いがあります。
そこで今回は、単糖の代謝について書きます。

単糖の代表はグルコース(ブドウ糖)です。
これは、多糖であるデンプンが、主にグルコースから成っていることでも分かります。
自然界に存在する糖質の大多数がこのグルコースか、グルコースがつながったもので出来ていると考えていただいて結構です。
このため、糖代謝に関する記述はこのグルコースの代謝だけを説明している場合が多いですね。
血糖値とは血中のブドウ糖の濃度のこと、とまで書かれている文献もありますが、もちろん違います。
血糖値は血液中の単糖の濃度のことですが、いずれにせよ基本中の基本として、ブドウ糖の代謝についてまず説明します。

ブドウ糖は小腸で吸収されるとすぐに、血液中に入り込み、血糖値が上昇します。
血液中のブドウ糖は、脳の活動のためのエネルギーとして使われるほか、全身の筋肉や臓器の活動のエネルギーとしても使われます。
この際にエネルギーを得る経路として、解糖系とミトコンドリア系の二つがあります。
解糖系とは酸素を必要としないエネルギー産生で、ミトコンドリア系は酸素を必要とするエネルギー産生です。
ミトコンドリア系の方がより効率的にエネルギーを産生できますが、活性酸素を作ってしまうという問題もあります。
いずれにせよ、人間の活動のための主要なエネルギー源なのです。

この生体の活動のためのエネルギー源であるブドウ糖はまた、人間の体を老化させる物質でもあります。
ブドウ糖は生体内ではとても反応性に富む物質であるため、血糖値が高くなりすぎると、血管内皮細胞や、全身の様々な細胞にくっついて、細胞の機能を壊してしまいます。
これを、糖化反応といます。
特に、血糖値が150mg/dlを超えると、この糖化反応が加速度的に亢進します。
であるために、生体は血糖値が上がりすぎると、インスリンを分泌して血糖値を下げます。

インスリンは肝臓や筋肉に、ブドウ糖からグリコーゲンの合成を促進します。
グリコーゲン合成によって血液中の糖が使われるため、血糖値は低下します。

しかし、筋肉や肝臓のグリコーゲン貯蔵には限度がありますから、それでも使い切れなかったブドウ糖は脂肪細胞が取り込みます。
この、血液中のブドウ糖の脂肪細胞への取り込みを促進するホルモンもまた、インスリンなのです。
脂肪細胞は取り込んだブドウ糖を中性脂肪に変換して貯蔵します。
これが、肥満のメカニズムです。

次ににガラクトースですが、ガラクトースは主にラクトース(乳糖)に含まれていますから、この糖を利用するのは赤ちゃんがメインです。
ガラクトースは小腸で吸収され、生体内に入ると肝臓でグルコースに変換されてから利用されます。
グルコースに変換されてからは先ほど述べたブドウ糖の代謝となりますが、グルコースに変換される前のガラクトースは、糖化反応がブドウ糖の約10倍もあるため、生体にとっては危険な糖なんです。

ラクトースをグルコースとガラクトースに分解する酵素(ラクターゼ)は、基本的に動物の赤ちゃんにしかありません。
ラクターゼを持たない動物や人間がラクトースを摂取しても、利用できずにうんちとして出てしまいます。

ただし、欧米の白人は9割以上が大人になってもラクターゼを持っているといわれており、このような人たちは大人になってもラクトースを分解し、吸収できます。
一方、日本人の約85%は乳糖不耐といって、このラクターゼを持っていませんから、摂っても吸収できません。


最後に果糖ですが、果糖を生体は上手く代謝することができません。
そもそも生体は、果糖が大量に生体内に入ってくることを想定して作られてはいません。
果糖は小腸で吸収され、門脈から肝臓に行くと、脂肪の合成に利用されます。
果糖から合成される脂肪はVLDLとなって血液中に入っていくか、中性脂肪となって肝臓に留まるかします。
しかし、肝臓での処理能力は大きくないため、果糖を大量に摂ると、生体は処理しきれずに全身に回ってしまいます。

血中に果糖が入り込むと、生体は大変なことになります。
果糖はブドウ糖と違い、細胞が取り込んで解糖系でエネルギー産生に利用することができません。
そして果糖は、ブトウ糖の10倍以上も糖化反応を起こしやすいのです。
先ほども触れましたが、糖化反応(グリケーション)とは、細胞に糖がくっついて糖化最終産物(AGE)を作ります。
糖化した細胞は正常な代謝が障害され、機能が破壊されていきます。
糖尿病が怖いのは、この糖化反応が全身に起こり、様々な合併症が起こってくるからです。

糖尿病の三大合併症は、「糖尿病性網膜症」、「糖尿病性腎症」、「糖尿病性神経障害」、の 3つです。
ところが普段から砂糖や異性化糖(HFCS、ブドウ糖果糖液糖)をたくさん摂る人は、果糖によって糖化反応が進んでいくために、糖尿病と診断されなくても、糖尿病性合併症が起こってくるのです。

すなわち、網膜症による失明や、腎症による腎不全、原因不明の神経障害など。
血液検査で血糖値が正常と診断された人でも、糖化反応が相当進行している人が実際にいます。

果糖は非常に危険な糖です。
健康診断で血糖値が問題無いと言われても、果糖をたくさん摂る食生活をしている人は決して安心できません。


こうやってみると、同じ単糖でもブドウ糖と果糖では、吸収後の糖代謝に大きな違いがあることが分かります。
同じ糖質を摂取するのなら、なるべく果糖の少ない物を選んだ方が良く、単糖より二糖類、二糖類よりもオリゴ糖や多糖類の方が、吸収が穏やかになり、血糖値の急上昇が防げます。


投稿日:2013年5月22日  カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ

お電話・お問い合わせフォームから、お気軽にお問い合わせください

お問い合わせ対応時間 10:00~19:30(土曜日は17:30まで)

お問い合わせ・ご相談はこちら

043-255-8341

お問い合わせフォーム

ページトップへ