歯周病の原因②~腸管免疫の破たん
歯周病の原因は全身及び局所の免疫低下である、そして全身の免疫は腸管免疫が司っている、という所までは理解できましたでしょうか。というわけで今回は、全身の免疫低下を引き起こす腸管免疫の破たんについて書きます。
腸管免疫が正常に働けなくなることで、様々な感染症や慢性疾患、アレルギーや自己免疫性疾患などが引き起こされます。腸管免疫が機能不全になる理由として、
・腸内細菌との共生の破たん
・消化管の炎症
・栄養欠乏
などがあります。
まず、腸管には様々な細菌が住み着き、人間と共生しています。善玉菌や悪玉菌といった言葉は皆さん聞いたことがあると思います。善玉菌を増やすために乳酸菌やビフィズス菌を積極的に摂ることを、プロバイオティクスといいますね。この共生菌のバランスが崩れ、人体にとって有益な菌が減少し、有害な菌が増殖することが腸内細菌の共生の破たんを引き起こします。
これは抗生物質の使用や病原菌の感染などによっても引き起こされますが、最も良くみられる原因が、誤った食生活です。かつてプライス博士は近代食が引き起こす一連の疾患を“退化病”と呼びました。そして退化病を引き起こす近代食の特徴が、糖質過多と栄養欠乏でした。この糖質過多と栄養欠乏によって腸管細菌との共生の破たんが引き起こされます。
また糖質過多、特に精製された糖質は腸管内でカンジダ菌の異常増殖を引き起こします。これが腸管に慢性炎症を起こし、リーキーガット症候群などを引き起こすのです。さらには腸管の健全性を維持するために必要な栄養素が十分に食事から供給されないことによっても、腸管免疫が正常に働けなくなってしまいます。
誤った食生活による一連の疾患を“退化病”とするのならば、歯周病とはそれ自体が単独で存在する疾患ではなく、退化病の一症状に過ぎないという事が理解できるでしょう。
それでは次回は、局所の免疫低下と歯周病について書こうと思います。