予防歯科と健康
予防歯科といえばヨーロッパ、スウェーデンが有名です。当然スウェーデンの歯科事情をいろいろ調べ、予防歯科の教科書や文献を調べてみました。やはりスウェーデンは日本よりも予防歯科が進んでいて、むし歯や歯周病で歯を失う人は日本に比べとても少ないことが分かりました。ですから日本でもスウェーデン式の予防歯科を導入し、実践することが日本の歯科医療を良くすることだと考えていた時期がありました。
しかしとある一冊の本が、僕の予防歯科の考え方を根底から覆したのです。その本こそが「食生活と身体の退化―先住民の伝統食と近代食その身体への驚くべき影響 W.A.プライス著」だったのです。そして…
ちょうど同じ時期に分子整合栄養医学の存在を知り、砂糖の為害性、特に低血糖症という病態を知り、糖質制限という食事法の存在を知りました。この糖質制限という食事法と、プライス博士が提唱している先住民族の伝統食の栄養学的特徴が一致していたことで、予防歯科の本当の答えが見つかったのです。スウェーデンは日本よりも口腔環境が良いとはいえ、むし歯も歯周病もまれではありません。先進諸国の中で良い方であるという事に過ぎません。しかし先住民族にはむし歯も歯周病も、不正咬合すらも存在しません。であれば、予防歯科としてどっちが本物かは歴然です。そしてプライス博士の報告によれば、先住民族には糖尿病も高血圧もガンも心筋梗塞も脳卒中もみられず、肥満体の人も存在せず、人々はみな健康で優れた肉体を持ち、感染症に対する高い抵抗力を兼ね備えていたといいます。これが本当であるのなら、予防歯科とは単に口腔内の疾患を予防することのみならず、全身の様々な慢性疾患やアレルギー疾患、自己免疫性疾患などもまた予防が可能であるいう事になります。
先住民族に興味を持った僕は、プライス博士の本以外にも先住民族に関する本をいろいろ買って調べてみました。その結果分かったことは、どうやらプライス博士の報告は本当らしいという事でした。調べれば調べる程、先住民族の健康な肉体に心が引かれていきました。そして先住民族の健康の秘訣である食生活の栄養学的特徴を、現在我々が手に入れることのできる食材で再現可能であるという事もまた、実証できました。実際自分の食生活に応用してみて、これは実行可能で確実な食生活改善法であるという確信を持つにいたったのです。
それにしても、プライス博士が食生活と身体の退化を最初に出版したのは1939年のことです。それからもう70年以上が経った今でも、この考え方が予防歯科として全く普及していないことに、驚きと憤りを感じずにはいられません。正しい予防歯科の考え方と実践法が世の中に広まるよう、今日もこうして広報活動を行っています。
投稿日:2013年10月3日 カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ