予防矯正
歯並び・咬み合わせの異常で最も多いのは、前歯のガタガタ(叢生)です。そして叢生は上あごの横幅の成長不良が原因で起こってくることは以前に説明しました。上あごの横幅の成長は6歳までに9割がた成長が終了してしまいますから、6歳時点で上あごの横幅が狭い場合、不正咬合になることが確実に予見できるようになります。ですから6歳時点で上あごの横幅が狭いのならば、速やかに上あごの横幅の成長を引き出す治療を行うべきです。
歯並び・咬み合わせの異常は成長・発育の異常によって起こります。ですから成長・発育上の問題を早期に発見し、正常な成長・発育へと促してあげることが肝要です。この正常な成長・発育へと促す治療を、予防矯正と呼んでいます。成…
長・発育の問題を早期に発見し、是正することなく放置すれば、問題はさらに複雑かつ重篤になってしまいます。そしてまた、成長・発育のポテンシャルが残っていなければ、成長を誘導する治療を行うことはできなくなります。ですから矯正治療も早期発見・早期治療が非常に大切なんですね。骨格性の不正咬合である出っ歯(上顎前突)や受け口(反対咬合)なども、上あごの横幅の成長不良に続いて起こってくる骨格の成長・発育の異常ですから、その元となる上あごの横幅の成長不良の早期発見・早期治療が出っ歯や受け口のようなより重篤な不正咬合の予防にとっても重要なのです。深刻な骨格の成長・発育の異常が起こってから矯正しようとしても、出来ることは非常に限られ、また結果も限定されたものとなってしまいます。ですから「永久歯に生え変わるまで様子をみましょう」なんて軽々しく口にする歯医者の言葉を真に受けてはいけません。
さて、実際の予防矯正の様子を写真で紹介します。上の段の写真は6歳の男の子で、上あごの横幅の成長不良が認められたので、拡大床を用いて上あごを拡大した例です。左から治療前、使用した治療装置、治療後となっています。中段の写真は9歳の女の子で上あごの横幅の成長誘導をW-Archにて改善した症例です。下段は12歳の女の子で、急速拡大装置にて上あごの横幅の成長誘導を行っています。
このように、年齢が進むにつれて装置もより複雑で、治療期間も長くはなります。いずれにせよ、骨格の成長・発育の問題は成長のポテンシャルが残っているうちでなければ是正できません。ですから成長・発育の問題を早期に見つけ出し、適切に対応することで将来の重篤な歯並び・咬み合わせの問題を回避すべきなのです。でもそれにも増して重要なのは、妊娠前からの不正咬合予防であることは、言うまでもありません。
投稿日:2013年10月23日 カテゴリー:矯正歯科, 院長ブログ