いや、むしろ種類によっては健康的ですらあります(魚油など)。
僕がたびたび例に挙げる「食生活と身体の退化 W.A.プライス著」にも、完全な健康体を持つ先住民たちが退化病に陥ってしまう近代食の特徴として、砂糖、精製された穀物、植物油、缶詰食品を挙げています。植物油は人の健康に大きな悪影響を与えることを、繰り返し示唆していました。
そんな植物油ですが、「本当は危ない植物油」によると、一部の植物油(エゴマ(シソ)油、アマニ油)を除くほぼすべての植物油は、健康に悪影響を及ぼす危険な食品であるとのことです。特に戦後日本人の植物油の消費量の急増に伴い、慢性疾患や出生率の低下が顕著になってきました。慢性疾患の増加は、植物油のオメガ-3とオメガ-6の比率の問題(オメガ-6の比率が高いと炎症が増大する)もさることながら、様々な毒性物質の影響があるといいます。
単体で最も毒性の高い油はキャノーラ油ですが、キャノーラ油は日本で最も消費量の多い油でもあります。キャノーラ油とは、菜種油を品種改良してできた種(カナダにちなんでカノーラもしくはキャノーラと名付けられた)の油です。なぜ品種改良したのかというと、菜種油には甲状腺肥大をおこす毒性物質として、イソチオシアネートやオキサゾリジンチオンなどが含まれ、また心臓に脂肪蓄積をおこすエルカ酸あるいはエルシン酸が多く含まれていたからでした。実際日本では菜種油は長らく行燈などに使う灯油として生産されていて、食用ではありませんでした。
カナダの研究者たちが、これら毒性物質を大幅に少なくした品種としてキャノーラ種を作り出しましたが、実際にラットやミニブタでの研究からは、従来の菜種油とほぼ同等の毒性が認められました。このような油は、本来食用にしてはならないのです。そしてキャノーラ油には、深刻な環境ホルモン作用も認められています。これが、精子減少や不妊と密接にかかわっていると、奥山秀美教授はおっしゃっています。キャノーラ油の毒性は、部分水素添加の大豆油(マーガリンやショートニングの原料、トランス脂肪酸を多く含む)と同等であるようです。
また、日本で2番目に多く使われている油はパーム油ですが、これも本来食用にするべきでない危険な油です。この油は発がん性が異様に高いことで有名です。しかもパーム油には、他の食用油で使用が禁止されているBHAという添加材が使われています。この添加剤もまた、強力な発がん性や環境ホルモン作用を持っています。パーム油は主に加工食品に使われているので、ポテトチップスが好きな方は、もう既に相当量蓄積していることでしょう。
植物油で比較的安全といわれている油はエゴマ油やアマニ油です。しかしこれも、取り過ぎは良くないでしょう。普段食べている食品の危険性について、多くの人にもっと関心を持ってもらいたいと願います。