医療法人社団楡樹会 稲毛エルム歯科クリニック

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古代人とむし歯


平成23年歯科疾患実態調査によると、日本人の20歳以上80歳未満の95%に治療済みも含めむし歯があります。日本人にこれほどむし歯があるということは、日本人は他の民族よりもむし歯になりやすいのでしょうか?

しかしWHOのう蝕罹患率(むし歯を持つ人の割合)をみてみると、先進諸国ではどこも非常に高いう蝕罹患率であり、日本だけが例外ではないことが分かります。

日本人はいつからむし歯になるようになったのでしょうか?とある記録によれば、今からおよそ2500年ほど前の縄文時代後期の遺跡の発掘調査では、う蝕罹患率は58.2%であったとのことです。しかし同時代の北海道の縄文遺跡では、むし歯の歯は全く認められなかったともいいます。この差はどこにあったのでしょう?

むし歯の原因は砂糖であると、僕は常々説いています。そうであるならば、縄文時代後期の日本には、すでに砂糖が存在していたのでしょうか?いえ、この時代に白砂糖はおろか、黒砂糖もキビ砂糖も甜菜糖も、縄文社会には存在していませんでした。

砂糖以外のデンプン質は、糖質ではあっても酸の産生能力が弱く、エナメル質を溶かすほどの強い酸は作れません。そうであるなら、縄文時代後期の人はなぜむし歯になったのでしょう?

エナメル質が酸によって溶け出す臨界pHは5.5ですが、象牙質の臨界pHは6.7であり、象牙質はエナメル質よりもはるかに酸に弱い構造になっています。そしてデンプン質はエナメル質を溶かすほどの酸は作れなくても、象牙質を溶かすくらいの酸は作れるのです。

健康な人の口腔内に生えている歯は、エナメル質の部分だけが粘膜から露出しています。象牙質が口腔内に露出する場合というのは、エナメル質がむし歯や磨耗、破切などによって失われてしまった場合や、歯周病によって歯ぐきが下がり、歯の根の部分が露出する場合に限られます。

エナメル質の磨耗は伝統的な生活を営む先住民族では良くみられる現象であり、アボリジニーは成人のころには臼歯部が磨耗し象牙質が露出するのが普通です。それにもかかわらず、露出した咬合面の象牙質がむし歯になることはありません。

歯ぐきが下がって歯の根の面(歯根面)が露出するのは、加齢変化などでは決してありません。歯周病によって、歯ぐきや歯を支える骨が破壊されることによって歯ぐきが下がるのであり、れっきとした病的変化です。そして実は縄文時代後期に認められたむし歯というのは、全てこの露出した歯根面に出来た、いわゆる“根面う蝕”だったのです。

ということは、縄文時代後期の人々は、歯周病に侵されている人もまた多かったということですね。歯周病は全身の免疫低下によって生じ、全身の免疫低下は糖質過多と栄養欠乏によって引き起こされます。つまり縄文時代後期の日本人の食生活は、糖質の占める割合が多くなってたんぱく質・脂質の摂取割合が相対的に低下し、栄養欠乏によって免疫力が低下することで歯周病・むし歯などが起こるようになっていたのです。

糖質の摂取割合が増えると歯周病やむし歯、住民の健康状態や乳幼児死亡率、平均寿命に悪影響が現れることは、世界の考古学的発掘調査で次々に明らかにされています。ですから現在のう蝕罹患率と古代のう蝕罹患率とでは、単純に比較すべきではないのです。そして古代から近代にかけて北海道に住んでいたアイヌ民族がむし歯と無縁だったのは、彼らの食生活に糖質がほとんど無かったのと無縁ではありません。


投稿日:2014年4月21日  カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ

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