さて、西洋医学、特にドイツ式西洋医学が大きく発展したきっかけは、感染症の克服でした。19世紀にルイ・パストゥールやロベルト・コッホによって炭疽菌や結核菌が発見され、疫病の正体が病原性微生物であるということが分かってから、急速に感染症に対する対策が発展していきました。また、病原菌を運ぶ中間宿主の存在も知られるようになり、公衆衛生上の対策もまた、発展していきました。
感染症の克服によって、ブルジョワ帝国主義は世界的な拡張をさらに押し広げるようになりました。パナマ運河の開通に大きな障害となっていた黄熱病やマラリアも、1915年にロックフェラー財団が黄熱病制圧に本格的に取り組んだおかげで、急速に治まっていきました。
当時の細菌学の研究の第一線はドイツとフランスのパストゥール研究所でしたが、ドイツは元々高い科学技術力を持ち、さらに高度に組織化された軍産複合体を組織していたため、世界の医学・薬学界のリーダー的存在となっていました。
ロックフェラー財団の活動は第二次大戦後WHOへと引き継がれました。そして感染症対策としての抗菌薬やワクチンの開発によって、製薬会社は飛躍的な成長を成し遂げました。そして製薬会社のオーナーもまた、当然ロックフェラー財団だったりします。
感染症の制圧は巨大製薬会社を生み出したのみならず、今まで感染症がゆえに進出できなかった地域への進出も可能にしました。アフリカ大陸が西洋列強の本格的な植民地支配を受けるようになったのは19世紀に入ってからですが、植民地支配が遅れた最大の障壁が感染症だったからです。
今日世界を席巻している西洋医学は、このような経緯で巨大化した製薬会社が自らの利益のために作り出したものです。ですからアメリカ医師会(AMA)やWHOのスポンサーもまた、ビッグファーマ(国際的巨大製薬会社)なのです。そしてビッグファーマのオーナーというのは、ロックフェラーやロスチャイルドといった国際金融資本であり、ブルジョワ帝国の実質的オーナーでもあります。
ところが、自らの成功の礎となった感染症の制圧によって、逆に製薬会社は医薬品販売の低迷を招くことになってしまいました。そこで製薬会社は、医療のターゲットを感染症から慢性疾患にシフトしたのです。とはいっても、ワクチンビジネスもまた、しっかりと握っています。
慢性疾患は感染症とは違い、治癒することが基本的にはありません。ですから患者が死ぬまで継続的に医薬品を売り続けることができます。今やビッグファーマは、世界中でより多くの慢性疾患を作り出し、慢性疾患患者に継続的に医薬品を売り続けるために、様々な戦略を採り続けています。これが現代の西洋医学の本質です。
非常におおざっぱですが、現代社会の医療の構造の基本構造を知るうえで必須となる、西洋医学発展のあらましを解説しました。これを知っているのと知らないのとでは、医療を見る目が全く変わります。そして食や健康に対するウソがまかり通るのが何故かもまた、これらの知識なしには理解しえないのです。