医療法人社団楡樹会 稲毛エルム歯科クリニック

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農耕革命の後


人類の祖先が地上に降り立ったのがおよそ700万年前、それから農耕革命が起こった1万1千年前までの699万年の間、人類は狩猟・採集生活で、肉食中心、タンパク質・脂質中心の食生活を送っていました。狩猟・採集時代の人類は他の野生動物同様、むし歯や歯周病になることは無く、慢性疾患になることも無く、肥満体もみられず、健康で生活していました。

今からおよそ1万1千年前にいわゆる肥沃三日月地帯(現在のイラク、シリア、ヨルダンあたり)で始まったとされる農耕革命によって、単位面積当たりの食料供給量が50~100倍となり、それに伴って人口が爆発的に増加し、文明社会が出現しました。いわゆる「世界史」などの歴史というのは、この農耕革命によって出現した文明社会成立後の世界の歴史を指します。

この農耕革命によって出現したものの一つに、むし歯という病気があります。農耕革命以前の狩猟・採集社会においてむし歯は基本的にみられず、また現在においても狩猟・採集で生活している先住民族にもまた、むし歯はみられません。その一方で、農耕社会が出現した時からむし歯が存在していたことは、考古学的調査から分かっており、むし歯は農耕とともに人類を蝕むようになりました。

古代人の生活状態を遺跡の発掘調査から調べる考古学的手法では、人骨の調査で当時の健康状態を調べます。長い年月によって軟組織は通常失われていますから、健康状態を知る手掛かりは、骨や歯などの硬組織の観察となります。むし歯は歯という硬組織に出現する疾患であり、ゆえに古代人の健康状態を知る良い指標となります。

むし歯は農耕とともに人類にもたらされたのであり、文明によってでは決してないという事は、西洋人が初めてイースター島を発見した時の島民の健康状態の記録からみても分かるように、明白な事実です。そして農耕社会が人類にむし歯だけをもたらし、その他の慢性疾患を全くもたらさなかったと考えるのは、どう考えても無理があるでしょう。

実際、歯周病は歯を支える骨が破壊される疾患であり、骨の疾患ですから考古学的調査で認めやすい疾患ですが、これもまた、農耕とともに人類にもたらされた疾患であることが分かっています。歯周病は全身の免疫低下によって発症する疾患ですから、全身の免疫低下が歯周病のみならず、様々な疾患をもまた引き起こしたであろうことは、想像に難くありません。さらに体格の変化や平均寿命の短縮などからも、この事実が裏付けされます。

人類は文明の発展とともに科学技術を発達させ、様々な感染症を克服してきました。しかし一方で増大する一方の慢性疾患には、いまだ有効な手立てを講じることができないでいます。現代人は肥満ですら、満足にコントロールできないでいるのですから。

しかし、肥満ですら全く存在しなかったであろう古代の原始人たちや、現代においても狩猟・採集生活を営む先住民族の暮らしぶりから、健康の秘訣や、人間本来の生き方を学ぶことは重要な事であり、必要な事でもあると僕は考えます。特に食の変化が人類の身体の退化をもたらしたのですから、健康の原点である食を見直すこと、先住民族の食生活の栄養学的特徴を現代社会に生きる我々が可能な限り取り入れることは、多くの現代人に必須の事であろうと僕は考えます。


投稿日:2015年1月29日  カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ

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