歯周病に関するこういったペテンがまかり通るのは、歯周病の原因を一般人はもちろん、歯科医療従事者であってもきちんと理解していないからなんですね。じゃあ彼ら歯科医師たちは不勉強なのかって?いえいえ、彼らはちゃんと勉強しているんですよ(多分)。実際歯周病学のバイブルと呼ばれる専門書を読んでみても、歯周病の真の原因については全く触れられていません。むし歯の真の原因がう蝕学(う蝕とはむし歯のこと)の専門書に書かれていないのと同じように。
歯周病は全身及び局所の免疫力の低下によって引き起こされる病気です。歯周病というのは状態であり、単なる一症状でしかありません。ですから症状を抑えたり、沈静化させるというだけではただの対症療法に過ぎず、治療が終わればまた再発し、増悪するだけです。
そして歯周病が全身及び局所の免疫低下によって起こる一症状であることを理解すれば、同様に免疫低下によって起こる様々な症状もまた、理解することができます。ですから歯周病が全身的な慢性疾患を引き起こすのではなく、歯周病も慢性疾患も、全ては同一の原因から来る症状の一つに過ぎないということです。
これと全く同じことが咬み合わせについても言えます。歯並び・咬み合わせの異常は、成長・発育の問題であり、環境的、栄養的な問題です。遺伝的に起こることは滅多になく、大半は環境因子によって起こるわけですから、予防は十分に可能です。ただし、予防のためには出産後の子育てよりも、妊娠前、妊娠中の母体の栄養状態の方がはるかに重要ですが。
歯並び・咬み合わせの異常が栄養欠乏によって起こるのであれば、栄養欠乏は歯並び・咬み合わせ以外の様々な問題をもまた引き起こすということは、想像に難くありません。栄養欠乏によって生じる疾患は、あるものは先天疾患として、あるものは後天的な要因による疾患として、あるいは体質や性格上の問題点として現れるかもしれません。もしくは体型や姿勢となって現れることもあるでしょう。
これら疾患や体質、姿勢の変化等は、歯並び・咬み合わせの異常を引き起こす栄養欠乏がその根本にあります。ですから、歯並び・咬み合わせの異常が様々な疾患や姿勢等の変化を引き起こすというのではありません。どちらも結果であり、症状の一つに過ぎないのです。
こういう根本的な知識、認識も無く、ただいたずらに咬み合わせの問題を大げさに取り上げて、人々の不安をあおるビジネスをする輩というのは、僕から見ればまさに下衆の極みです。根本原因を正しく認識すること無しにただ単に咬み合わせだけをいじっても、あらゆる不定愁訴が魔法のように消え去るなんてことは、ありえないということに皆さんも気づくべきですね。