ミキサーなどで野菜をスムージーにして流し込むと、唾液とよく混ざり合いません。噛む刺激が胃液の分泌を促進するのですが、噛まずに飲み込むと、胃液の分泌も不十分となり、その後の消化吸収が上手くいかなくなります。なのに健康のために毎朝自家製スムージーを飲んでいるなんて人がいますが、バカ丸出しにも程がありますね。
一口につき30回噛みなさい、と提唱しているお医者様もいます。これ自体、悪い事ではないのですが、大きなことを見落としています。それは、人によって咀嚼効率(効率良く噛めるかどうか)が大きく違うということ。歯並び、咬み合わせに問題無い人であれば、20回も噛めばもはや原形を留めないほどに細かく噛み砕けるのですが、咬み合わせの悪い人では30回噛もうが40回噛もうが、全然細かくなっていないという人もいます。
健康になるためには毎日の食事を良いものにすること、だけでは不十分であり、食べ物を良く噛んで食べることが重要です。ですから歯並び・咬み合わせが悪かったり、むし歯や歯周病で歯を失ってしまったりした人では、咬み合わせを回復させ、良く噛める状態を作り上げる必要があります。
歯医者という仕事は人間の健康管理の根本にかかわる仕事であり、食べ物を良く噛めるようにするために、むし歯、歯周病、不正咬合の治療に長けているのみならず、人間本来の食性に基づいた、適切な食事指導を行うことができなくてはなりません。これが出来て初めて“歯医者”となれるのであり、単にむし歯の処置しかできないのなら、それは“歯大工”に過ぎないのです。