甲状腺機能低下
慢性的な疲労感やうつ、神経症などの原因として、近年、副腎疲労が知られるようになってきました。副腎とは、腎臓の上に乗っかっている5グラムほどの小さな臓器で、各種ホルモンを分泌する内分泌器官です。
副腎が疲労する原因として、最も注目されているのが、糖質の過剰摂取によって起こる、「低血糖症」です。糖質の過剰摂取によって血糖値調節機構が乱れ、血糖値上昇の働きもあるホルモンである「糖質コルチコイド(コルチゾール)」の過剰分泌が起こります。このホルモンは副腎から分泌されているため、過剰分泌が副腎を疲労させ、機能不全に陥ることで様々な症状が現れます。
この副腎疲労の陰に隠れて目立たないのですが、同様に低血糖症によって疲弊する臓器に、甲状腺があります。低血糖症になると、脳下垂体から甲状腺刺激ホルモン(TSH)というホルモンが分泌され、甲状腺を刺激します。甲状腺が刺激されるとチロキシン
やトリヨードサイロニンといった甲状腺ホルモンが分泌されますが、このホルモンには血糖値上昇作用があります。
低血糖症により常に甲状腺が刺激され続けると、甲状腺は疲弊し、チロキシンなどを上手く分泌できなくなります。これを甲状腺機能低下と呼びます。
チロキシンは全身の細胞に働きかけ、呼吸量やエネルギー産生能を増大させる働きがあります。呼吸数や心拍数が増え、血圧が増大し、体温が上昇し、筋肉の活動性が向上します。チロキシンの分泌が減少すると、逆に活動性や代謝が低下し、体温も低下し、精神的には強い疲労感やうつ、神経症などの症状を呈します。細胞の代謝が低下することにより、体重は増加します。
特に女性が太りやすいとか、手足の冷えが気になるとか、ずっと体がだるいとか、やる気が出ないとか、このような症状がみられたら、副腎疲労だけでなく、甲状腺機能低下を疑った方が良いでしょう。
甲状腺機能低下がある場合、甲状腺ホルモンを投与するというのは単なる対症療法に過ぎません。元々の原因として、糖質の過剰摂取による低血糖症があるのですから、まずは糖質摂取を極力控えること、特に甘い物は一切摂らないことを、真っ先に行うべきですね。
投稿日:2015年9月1日 カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ