1970年代のアメリカでは心疾患による死者が死因のトップになるほど、心臓血管障害による死者が多く出ていました。これはもちろん同様の血管障害によって起こる脳梗塞などもまた、多いという事です。当時心疾患や脳疾患は高血圧や肥満が原因となると考えられていたため、国民の健康に対する意識が高まっていました。
1977年アメリカの上院特別委員会は「米国の食事目標」という、食生活指導のための指針を発表します。いわゆるマクガバンレポートと呼ばれるものです。マクガバンレポートには、アメリカ人の標準的な食生活は、カロリー過多で肉や動物性油脂の摂取量が多いから、摂取カロリーを減らし、肉や乳製品、動物性油脂などを減らして、野菜をたくさん摂るべきであると勧告しました。
アメリカでの健康ブームもあって、アメリカ人の食生活は大きく変化しました。動物性油脂は植物性油へと変えられ、マクドナルドのフライ用油も牛脂(フェット)から、植物性油に変えられました。
バターはよりヘルシーなマーガリンへと変えられ、オメガ6不飽和脂肪酸とオメガ3不飽和脂肪酸の摂取比率は16:1にもなりました。動物性食品は忌避され、植物性食品が多く摂られるようになり、タンパク質摂取が減り、糖質の摂取量は非常に増加しました。
東洋人の健康状態が良い見本とされ、1960年に桜沢如一がアメリカで出版した「ゼン・マクロビオティック」によってマクロビオティックが知られるようになり、ジョン・レノンやマドンナ、トム・クルーズ、ジョン・トラボルタなどの有名人が実践しているという事で、マクロビブームが起こりました。
こうして今のアメリカが出来上がったのです。アメリカで70年代から盛り上がった健康ブームは、結局製薬会社の薬の売り上げを、飛躍的に伸ばしただけだったようですね。