では、なぜ腎臓での尿酸の排泄障害が起こるのでしょうか。それは、腎臓の働きを知ると分かります。
腎臓は尿を作り、体の中の余分な老廃物を水分と一緒に排泄するための器官です。腎臓は腎小体と尿細管という二つの部分に分かれます。腎小体では血液をろ過し、原尿を作る場所です。尿細管は原尿から体にとって必要な成分(グルコース、アミノ酸、ナトリウム、水など)を回収する場所です。また有機酸や塩類なども尿細管で尿に排出され、尿が作られています。
腎臓では毎日たくさんの血液が濾過され、また有用成分の再回収が行われています。そのため全身の中でも特に糖化に弱い場所でもあります。糖尿病の三大合併症の一つが糖尿病性腎症であるのはそのためです。
ですから痛風とは腎臓で尿酸の排泄がうまくできなくなるために起こる病態であり、腎臓の病気であるといえます。そして腎機能を低下させる主原因が糖質であり、特に危険なのが果糖です。果糖はブドウ糖の10倍も細胞を糖化させるのです。
このほかにも以前、果糖が肝臓でフルクトース1-リン酸を生成させ、無機リン酸が枯渇し、高尿酸血症を引き起こすことを説明しました。果糖は肝臓で高尿酸血症の原因となり、また腎臓を糖化させ腎機能低下を引き起こし、尿酸の排泄障害を招くのです。ですから痛風は果糖によって起こる病気であるといえます。
ですから痛風に悩んでいる人はプリン体オフの食品を選ぶのではなく、果糖を一切摂らないようにすべきなのです。当然果物も一切摂るべきではありません。そしてやはり最も重要なことは、痛風の予防としても、その他疾患の予防としても、普段から極力果糖は避ける食生活を心がけることが大切です。まあそれでも、痛風持ちや糖尿病の人ほど、甘い物に固執するものですけどね。