乳製品の摂取について①
先住民食では乳製品全般を禁止しているのではなく、牛乳やヨーグルトを避けるように指導している一方で、バターやチーズに関しては無制限の摂取を推奨しています。これは乳製品であれば何であれ摂取すべきでないとするパレオ食(原始人食)とは違う考えの一つです。
先住民食ではなぜ牛乳やヨーグルトの摂取を避けるように指導しているのか、それは、「乳糖」を避けるためです。なぜ乳糖を避ける必要があるか知るためには、そもそも乳糖とは何であるかを知る必要があります。
乳糖(ラクトース)は主に哺乳類の乳に含まれる糖であり、ブドウ糖(グルコース)とガラクトースからなる二糖類です。哺乳類の乳は、基本的に血液を濾したものです。しかし、乳糖は血液中には含まれません。乳糖は乳腺でブドウ糖を原料に作られます。ブドウ糖の一部が異性化されてガラクトースになり、ブドウ糖とくっついて乳糖になります。ここで重要なのが、なぜ乳腺でわざわざブドウ糖を乳糖に変換するのか、ということです。
乳糖は二糖類ですから分解されて単糖にならないと吸収されません。乳糖を分解するためにはラクターゼという酵素が必要になります。ラクターゼは哺乳類の赤ちゃんでしか作られない酵素です。そして哺乳類の赤ちゃんは成長とともにラクターゼが作られなくなって、乳離れします。
ラクターゼを分泌できない個体が乳糖を摂取すると、乳糖を分解することができず、分解されない乳糖が腸内の浸透圧を上げたり、腸内細菌の異常発酵を引き起こしたりして下痢を引き起こします。ラクターゼを分解できない人が乳糖を摂り続けると、腸内環境を悪化させ、リーキーガットや様々な消化器疾患を引き起こす原因となります。
このため哺乳類は成長とともに乳を飲めなくなって乳離れします。人類においては成長しても牛乳などの動物の乳を食料とする民族が現れました。この民族は成長してもラクターゼの分泌が続くという特徴を備えるようになりました。ところが日本人は、成長するとラクターゼが出なくなる人が多く、これを乳糖不耐といいますが、日本人のおよそ85%がこの乳糖不耐に相当するといわれています。乳糖不耐の人は乳糖を多く含む牛乳やヨーグルトは摂取しない方が良いでしょう。
長くなったので次回に続きます。
投稿日:2017年5月12日 カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ