皆さんは、“寛解”という言葉を知っていますか?皆さんが病気になって、病院で治療を
受けたとします。患者は病気を治したいと考えますが、医者も同じ考えとは限りません。
医者が投与した薬は、病気を“完治”させるものではなく、病気を“寛解”させるものか
もしれません。では、寛解とは一体何なのでしょうか。
寛解(かんかい)とは、「病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽減した状態。または見かけ上消滅した状態。」(デジタル大辞泉)とあります。要は、病気そのものは治っていないが、見かけ上の症状は無くなって落ち着いている状態ということです。寛解は通常、薬で得られます。寛解を得る薬というのは、逆にいえば薬をやめれば必ず再発するということでもあります。
例えば皆さんが風邪を引いて、風邪薬を飲むとします。一週間ほど安静していれば、風邪は治ります。実際は風邪薬を飲む飲まないにかかわらず、放っておいても治るのですが。風邪が治ったら、普通は風邪薬を飲むのをやめます。風邪薬を飲まなくても、風邪がぶり返すことはありません。
これに対し、寛解は単に薬で症状を抑えているだけに過ぎません。治ったわけではないので、患者は薬を一生飲み続けなければなりません。そしてビッグファーマと呼ばれる巨大製薬会社は、慢性疾患の寛解を得るための薬の開発に勤しんでいます。なぜなら、それが巨万の富を生み出すからです。
先に紹介した、1988年にイーライリリー社が発売したSSRIである「プロザック」は、うつ病の完治ではなく、寛解を得るための薬です。そのため、SSRIは一度飲み始めたら、一生飲み続けなければいけません。このような寛解を目指す薬において重要なのは、長期服用で副作用が少ないこと、患者が長生きすることです。患者が生き続ける限り、薬は売れ続けるのですから。
寛解を得る薬の代表は、高血圧の薬や高コレステロール血症の薬などです。特に高血圧の薬は需要が高く、近年アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)や、アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB拮抗薬)などが開発され、世界的大ベストセラーとなりました。これらは高血圧症の寛解を得るための薬であり、一生飲み続ける必要があります。
他にも潰瘍性大腸炎の治療薬(といっても治療効果は全く無い)として、サラゾピリン、ペンタサ、アサコール(これらは全てゾロ新薬であり、効果は同じ)といった5-ASA製剤が寛解を得るために用いられたり、慢性骨髄性白血病の治療薬として、グリベックが寛解を得るために用いられています。
グリベックは慢性骨髄性白血病の画期的な治療薬とうたわれていますが、その薬価は一錠3000円と、非常に高価です(アメリカの場合)。これを生き続ける限り飲み続けなければなりません。標準量は一日4錠ですので、一日1万2000円、一年だと438万円にもなります。スイスのノバルティスファーマはぼろ儲けですね。ちなみにこの薬は、その後の抗ガン剤における分子標的薬の先駆けであり、流行の火付け役となった薬でもあります。
そうはいっても、不治の病なのだから寛解で寿命が延びたり、生活の質が改善できるから良いのでは?とお思いの方もいることでしょう。しかし、うつ病という病気は最初から存在しませんし、うつ状態だって薬なしで完治することもできます。それを一度薬に頼ってしまうと、一生抜け出せなくなります。
潰瘍性大腸炎だって、薬なしで完治させることが可能です。実際僕は完治させました。むしろ、薬をやめることの方がよっぽど難しかったのです。白血病は僕はなったことはありませんが、完治している人はいます。
要は寛解というのは、一生医療の奴隷にされる道でしかないということです。寛解は医者や製薬会社を潤しますが、決して患者を救いはしないのです。