僕が先住民族の食生活に興味を持つのは、先住民族の食生活こそが人間本来の食生活であ
ろうと考えるからです。人間は諸説ありますが、ほぼ400万年前からサルと分かれ、人
類への進化の歴史を歩み始めました。そして現在の我々の直系の祖先であるホモ・サピエ
ンスに至るまで、ほぼ狩猟採集生活を営んで生活してきました。
我々人類の食生活が大きく変化したのは、農耕文明が生まれてからです。さらに産業革命が起こったり、流通革命が起こったりして、現在の我々の食生活に至るわけですが、基本的に我々の身体は狩猟採集時代と大きく変化してはいません。
ですから人類本来の食性を知ろうとすれば、狩猟採集の食生活を守り続けている先住民族の食生活を知るのが手っ取り早いのです。そして先住民族の食生活に関しては、現在かなりの量の知見が得られています。
にもかかわらず、現代社会に生きる我々のどのくらいの人が、この先住民族の伝統的な食生活を知っているでしょうか?実は僕も4年くらい前まではほとんど知りませんでしたし、多くの人たちは今でもほとんど知らないことでしょう。
ちなみに「栄養学」という学問は、人類本来の食生活から見いだされた食と健康の関係を論じる学問ではありません。実は、栄養学という学問は純粋な科学から生まれたものでは無いのです。ここのところを調べると、面白いことがたくさん分かるのですが、今日の話題はこの事ではありませんので省略します。
僕が面白いと思うのは、人間という生物が本来どういう生き物かすら知らない人たちが、健康のためにやれ何を食べれば良いとか、何を食べてはいけないとかを真面目に論じていることです。人間という生き物を知らないのに、何でそんなことを論じることができるのでしょう?全くもって、トンチンカンな人たちですね。
先住民族の食生活を調べれば、人間とはどういう生き物なのかが分かってきます。僕は人間という生き物をもっと知りたいし、多くの人にも知ってもらいたいと思っています。先住民族は決してバカでも無知でもありません。むしろ我々よりもはるかに色々な事を知っています。特に、人間本来の生き方においては、彼らほど良く分かっている人たちはありません。謙虚な気持ちで先住民族から真摯に学べば、我々が抱える健康上の多くの問題の答えもまた、見えてくるでしょう。