風が吹くだけで痛いというくらい、強烈な痛みが起こる「痛風」という病気には、出来れ
ば一生なりたくはないですね。でも誰だって病気になりたくて病気になるわけではありま
せん。痛風の気があると医者に言われた人なら、なおさらならないでいたいと願うでしょ
う。
痛風は、尿酸が結晶化して関節に炎症を起こす病気です。このことから、高尿酸血症が痛風の原因であると考えられてきました。しかし、尿酸値が正常値であるにもかかわらず痛風を発症する人もいます。また、糖尿病では痛風もよくみられるのですが、糖尿病患者の場合、尿酸値がむしろ低い場合を良く認めます。
尿酸はプリン体から合成されることから、プリン体を多く含む食事を控えるよう、医師から指導されることがあります。プリン体とは核酸の成分であるアデニンやグアニン、電子伝達系で補酵素として働くNAD(ナイアシン)、FAD(ビタミンB2の誘導体)など、生体にとって必須の栄養素が含まれます。ですからプリン体を制限することは、様々な栄養欠乏をもまた引き起こすことになるのです。
そもそも、痛風の原因がプリン体の過剰摂取というのは迷信です。プリン体の摂取を控えることで痛風を予防することはできませんし、痛風の人がプリン体を控えても、症状が改善することはありません。
人間や霊長類の一部を除いて、哺乳類は基本的に尿酸がプリン体の最終代謝産物ではありません。他の哺乳類では尿酸をさらに尿酸オキシダーゼという酵素によって、無害なアラントインに分解し排泄しています。ではなぜ人間は尿酸を分解しないのでしょう?それは恐らく、ビタミンCを合成することが出来ないからと考えられています。
ビタミンCは抗酸化物質として、活性酸素の消去を行っています。人間や霊長類の一部はビタミンCを体内で合成できないため、活性酸素を消去するための他の方法を発展させました。尿酸は強力な抗酸化物質なので、人間はビタミンC合成が出来ない代わりに、尿酸を抗酸化物質として有効に利用するようになったのでしょう。
尿酸は腎臓で尿に排泄されます。痛風のほとんどは、腎臓での尿酸の排泄障害によって起こります。腎臓はなぜ尿酸をうまく排泄できなくなるのでしょう?それは、腎臓が糖化することによって機能障害が起こるからです。腎臓の糖化に特に関係していると考えられているのが、果糖です。果糖はブドウ糖のおよそ7~10倍も糖化能力が高く、強力に細胞を傷害します。
また果糖の大量摂取は、肝臓で無機リン酸の欠乏を引き起こし、ATPの枯渇と高尿酸血症を引き起こします。さらに果糖は血液のpHを酸性(アシドーシス)にすることによって、尿酸の結晶化を促進します。果糖が痛風の原因となるのなら、糖尿病患者に痛風が多いことも理解できます。
痛風の本当の原因はプリン体では無くて果糖であり、果糖を多く含む物(砂糖や異性化糖)の過剰摂取が痛風を引き起こすのです。甘い物はむし歯だけでなく、さまざまに体を蝕むのですから、一切摂らないようにすべきなのです。