日本の歯科医療は慢性的な不況業種となっていて、経営が苦しい歯科医院もたくさんあり
ます。そんな歯科医院がコンサルタントに安易に頼ると、経営が改善するどころか、お金
を持っていかれた上にもっと苦しい立場に追い込まれます。そんなひどい目に合わないた
めに、僕が歯科医院経営の基本を教えてあげましょう。
まず、保険医療機関においては、新患数が重要です。月の新患がユニット一台に付き15~20人は欲しいところです。この新患を増やすために、多くの歯科医院が苦労していることと思います。しかし、はっきり言いますが、月の新患数の9割は立地で決まります。立地が悪くて新患が少ない歯科医院は、どんなテコ入れをしたところで長くは続きません。月の新患数がユニット当たり15人を切るようなら、移転するか廃業しましょう。
立地の悪いところでいくら頑張っても、短期的には多少は上向くかもしれませんが、長…期的には決して上手くいきません。むしろ、ここで頑張ってドツボにハマる歯科医院が多いのです。
新患数やレセプトの少なさを、自費診療でカバーしようというのは、最悪の選択です。これが一番やってはいけません。これをやると、確実にもっと苦しい状況に追い込まれます。
まず、自費診療を増やそうとすると、設備投資をする必要があります。しかし、日本の歯科医院の設備投資率は世界一ともいわれ、CTを保有している歯科医院の割合は日本がダントツです。設備投資をいくらしたところで競争優位には立てず、借金ばかりが募ってしまいます。その借金を返すために自費診療をごり押しするようになると、患者が逃げ出します。
また、自費診療はトラブルが付き物。保険よりもはるかに高額な診療だけに、トラブルになると大変です。そもそも、高度な診療技術を持っているなら、自費専門の歯科医院とするはずです。自分の能力以上の治療を手掛ければ、そのしっぺ返しは大きいものとなるでしょう。
診療時間を長くしたり、休診日を減らしたりするのもまた、効果ありません。一昔前ならこの方法は効果的でしたが、今では主要都市部に長時間診療している歯科医院が複数件存在していますから、競争優位にはなりません。むしろ、人件費などの経費がかさんで経営を圧迫してしまいます。
診療時間を長くして得をするのは、すでに立地的に競争優位に立てている場合に限ります。立地の悪さを診療時間でカバーするのは、残念ながら不可能です。
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