僕は予防歯科専門クリニックを経営していますが、当クリニックの考える予防歯科とは、
むし歯、歯周病、不正咬合の原因を知り、除去することだと考えています。全ての疾患に
は原因があり、原因を取り除けば予防が可能であるというのが、当クリニックの予防歯科
の原点です。
ですから当クリニックでは、フッ素塗布をはじめとした、いわゆる予防歯科処置というものを一切行っていません。なぜなら、野生動物にむし歯が無いのはフッ素を塗っているからではありませんし、先住民族にむし歯が無いのもまた、フッ素を塗っているからではありません。ならばむし歯の原因とフッ素は無関係であり、フッ素をむし歯予防に使う意味はまったくありません。
それでもフッ素が人体にとって無害なものなら、別に使っても良いかもしれません。しかしフッ素は猛毒であり、大量に摂取すれば急性中毒となって最悪死に至るのみならず、たとえ微量でも体内に蓄積して慢性毒性を示す危険な毒物です。このようなものを予防歯科と称して人体に投与するのは現に慎まなければなりません。
むし歯、歯周病、不正咬合の正しい原因を知ることができれば、適切な予防法もまた理解できます。しかし悲しいかな、疾患の原因は非常に重要な知識であるにもかかわらず、世の中にはまず知られていません。歯科の専門書であっても、はっきりと記載されてはいないのです。
しかし教科書をたくさん読み込んでいけば、そこにヒントが隠されています。そしてまた、むし歯の無い人たちや、歯周病、不正咬合の無い人たちを観察することで、疾患の本当の原因を導き出すことができるのです。
原因が分かれば、あとはその原因を取り除くことで疾患を予防することが可能になります。これこそが当クリニックで実践している予防歯科なのです。
そして疾患の原因を探っていくと、歯科疾患以外の慢性疾患や精神疾患といったものの多くの原因もまた、分かるようになってきます。これら慢性疾患や精神疾患の予防も歯科疾患の予防と共通であり、結局は人間が人間として健康に生きるにはどうしたら良いか、ということに繋がるのです。
逆にいえば、原因除去以外のあらゆる予防は無意味であり、有害ですらあるということ。また疾患の治療に対しても原因からアプローチするものでなければ本質的な改善は得られないということ。そういうことも分かるようになります。
疾患の原因を知ることは、世の中の本質を見抜く目を養うということ。その入り口として、僕は本質的な予防歯科を多くの人に知ってもらいたいと願っています。