一部のマニアの人に好評なこの企画、核心の部分が早く知りたいという人もいる様なので
、歯医者の儲けのテクニックについて解説しましょう。前回厚生労働省は歯医者の衛生管
理のずさんさについて半ば黙認状態と書きましたが、厚生労働省が黙認しているのはこれ
だけではありません。もっとやばい事すら黙認しているのですが、それこそが日本の歯科
医療を腐らせている根本原因であるとすらいえるでしょう。それは何かというと、歯科の
「ぼったくり」営業の黙認です。
日本の歯科保険医療機関のほとんどでぼったくり営業が行われている!?なんて言うと、驚かれる人も多いかもしれません。しかしそれが現実です。ぼったくりという言葉だと聞こえは悪いですが、これは正確に言うと「混合診療」の黙認ということなのです。
ちょっと待って、日本の保険医療制度では、混合診療は禁止されているはずじゃないかと思ったあなた、正解です。現在日本の保険医療制度においては混合診療は禁止されています。現在進行中のTPP交渉における医療分野の争点にも、この混合診療の解禁が含まれています。日本医師会は混合診療解禁に一貫して反対し続けていますが、これは一体どうしてでしょう?混合診療が解禁されると、何か問題があるのでしょうか?
歯科のぼったくり医療の現状を知るためには、混合診療とは何なのか知る必要があります。というわけで、まずは混合診療について説明します。
混合診療とは、保険診療と保険外(自費)診療とをミックスして受ける診療のことです。混合診療が禁止されているというのは、例えばガンで保険診療で治療を行っていたとします。そこに保険外の先進医療(例えば重粒子線治療など)や、保険適応外の抗がん剤の使用などを行った場合、患者は保険外治療の費用全額を負担するのみならず、現在までに保険で行われてきた治療まで全て保険外扱いになって、保険負担分も支払わなければなりません。
混合診療が解禁されれば、従来の保険診療を受け続けることができ、保険外のみ自己負担すれば良いということになります。これだけ聞けば、混合診療を解禁すべきと思われるかもしれません。しかし混合診療には、大きな問題が潜んでいます。日本医師会のホームページから、混合診療によって起こる問題が説明されているので紹介します。
「混合診療には、いくつかの重大な問題が隠されています。例えば、次のようなことです。
(1)政府は、財政難を理由に、保険の給付範囲を見直そうとしています。混合診療を認めることによって、現在健康保険でみている療養までも、「保険外」とする可能性があります。
(2)混合診療が導入された場合、保険外の診療の費用は患者さんの負担となり、お金のある人とない人の間で、不公平が生じます。
(3)医療は、患者さんの健康や命という、もっとも大切な財産を扱うものです。お金の有無で区別すべきものではありません。「保険外」としてとり扱われる診療の内容によっては、お金のあるなしで必要な医療が受けられなくなることになりかねません。
混合診療の背景には、このような問題が潜んでいます。」
これは日本医師会の主張ですから、全て鵜呑みにするわけにはいきません。しかし、本質的なところは良く突いていると思います。そして日本医師会が憂慮している混合診療解禁によって起こるであろう問題が、日本の歯科保険診療においては、すでに現実のものとなっているのです。
しかし話が長くなってしまいましたから、続きは次回書きます。