皆さんは一日に何回歯磨きしていますか?平成23年歯科疾患実態調査によれば、毎日歯
磨きしている人は日本人の約9割、一日二回以上歯磨きしている人は、7割以上いるそう
です。さすが、日本人はキレイ好きですね。
しかし残念ながら、歯磨きはむし歯を予防しません。歯周病も予防しません。いや、それどころか、むし歯や歯周病を間接的に引き起こす原因になっているかもしれません。
お口の中には様々な菌が住んでいます。その種類は500種類とも1000種類ともいわれています。菌の数も大腸と同じくらい多く、皆さんが思っているほど、お口の中はきれいではありません。
しかし、菌がたくさん住んでいることは、偶然ではありません。ちゃんと意味があります。腸内細菌が人間の健康に必要なように、お口の中の細菌もまた、健康にとって必要なのです。
お口の中に菌がいること自体、むし歯の原因にも歯周病の原因にもなりません。むし歯の原因は発酵性の糖、すなわち砂糖や異性化糖などの甘みの強い糖類です。これらを大量に摂ることでむし歯になります。歯周病は全身の免疫低下が原因で起こりますが、歯並び・咬み合わせが悪いことも、局所の抵抗力の低下を引き起こします。
お口の中の細菌は、基本的に健康を守るためにいるのですから、むやみに取り除いたり、殺菌したりしてはいけません。そもそも、歯の表面に付く汚れやプラークは、食事によって自動的に取り除かれる仕組みになっていますから、歯磨きは本来不要です。
食物の自然な流れを妨げるような歯並び・咬み合わせの異常があったり、生理的に調和していない詰め物や被せ物があったりした場合、食渣が停滞したり、プラークが蓄積したりして、病気の原因となることがあります。歯並び・咬み合わせの問題は単なる見た目の問題ではなく、お口の健康、ひいては全身の健康と密接に結びついています。
歯磨きは人間にとって、基本的には必要ありません。しかしそれでも歯に着く着色を落としたいなどの理由があるのなら、なるべくお口の中の環境を悪くしないような歯磨きを心がけましょう。お口の健康を守ってくれる菌を殺してしまうような、殺菌成分を含んだ歯磨き粉は使うべきではありません。かえってむし歯や歯周病にかかりやすくなってしまいます。
僕は歯磨きは一日一回、朝のみ行っています。歯磨きは多すぎるとかえってお口の健康に良くありません。歯磨きを熱心に行うメリットはほとんど無いどころか、かえって病気になりやすくなるのですから、歯医者が歯磨き指導を熱心に行うのにはちゃんとした理由があると思って、真に受けないようにしましょう。
ただし、もう既に歯周病になって歯ぐきが下がっているような場合、自浄作用が低下していますから、歯医者さんで適切な歯磨き指導を受け、実践してくださいね。