医療法人社団楡樹会 稲毛エルム歯科クリニック

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エリクシール事件とFDA


今日の西洋医学と栄養学を知るうえで、エリクシール事件が重要な転換期となります。この事件をきっかけに現在の西洋医学と栄養学の在り方が決定づけられたといっても過言ではありません。それほどまでに重要なエリクシール事件について、説明しましょう。

ゲルハルト・ドーマクが人類初の合成抗菌薬(いわゆる抗生物質)であるプロントジルを合成したのは1932年でした。その後プロントジルの有効成分がスルファニルアミドであることが分かり、スルファニルアミド製剤が世界の製薬会社からたくさん作られるようになりました。当時は現在のような医薬品の独占販売権や特許による保護が十分に行われておらず、コピー医薬品がすぐに市場に出回るような状態でした。

1937年アメリカ、オクラホマ州タルサで原因不明の奇病が突如発生しました。患者は激しい腹痛を訴え、6人の子供が死亡しました。その後これらの患者は皆マッキンゼル・アンド・カンパニーという会社が製造した、エリクシール・スルファニルアミドという薬を飲んでいたことが分かりました。この薬にはスルファニルアミドを水に溶けるようにするための溶媒として、ジエチレングリコールが用いられていました。このジエチレングリコールによって、たくさんの被害者や死者が出たのでした。

当時医薬品の監督をしていたアメリカの政府機関はFDA(アメリカ食品医薬品局)でした。しかしその組織は小さく、市販されている医薬品の監督、管理がきちんと行われているとはとても言い難い状況でした。エリクシール事件が世論の非難を喚起したことで、翌1938年にアメリカ議会は新しい連邦食品医薬品化粧品法を成立させました。この法律によってアメリカ史上初めて、新薬は発売される前に安全性を証明しなくてはならなくなりました。さらに全ての活性成分をラベルに書き、誤用に関する警告を消費者に伝えることを義務化しました。この法律によって化粧品もまた、医薬品と同じように規制されることとなりました。

FDAの権限を大幅に強化するこの法律ができたことで、製薬会社にかかるペナルティーは大きくなり、大きな制約を受けることになりました。製薬会社は制約を受け入れる代わりに、自社で開発した医薬品の独占販売権や特許による保護を強化するよう求め、それは受け入れられました。

製薬会社が特許や独占販売権を主張した薬の中に、特定のビタミン剤やミネラル剤などがありました。当時は脚気の原因がビタミンB1欠乏であるとか、壊血病の原因がビタミンC欠乏であるとか、クル病の原因がビタミンD欠乏であるとかが分かってきていました。そこで各製薬会社は、各種ビタミン剤などを疾患の治療薬として販売していました。ところがビタミン剤やミネラル剤は、この法律で保護させる医薬品とはみなされないことになりました。

その理由は、当時世界に広まりつつあった栄養学にありました。日本の佐伯矩(さいきただす)が作り上げた栄養学によって、食と健康や病気との正しい関係が知られるようになり、また佐伯矩の作成した各食品に含まれる栄養素の一覧表が、ビタミン剤を用いずとも食事によって栄養改善や欠乏症の治療が可能であることを示しました。これによって、ビタミン剤は特許や独占販売権で保護される医薬品とはみなされなくなってしまったのです

長くなりましたので、続きは次回に。


投稿日:2018年2月27日  カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ

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