西洋医学を否定している人を見かけますが、僕は西洋医学を否定しません。僕は歯科医師
として歯科治療を行っていますが、その治療は西洋医学的治療です。
西洋医学が良いとか悪いとかではなくて、西洋医学とは何であるかを正しく理解することが大切です。その理解があった上で、西洋医学を利用するかしないかは、患者が決めれば良いと思います。
西洋医学の本質は何かといえば、対症療法です。対症療法とは、疾患の原因はそのままで、症状のみを緩和したり取り除いたりする治療の事を指します。西洋医学はある意味最も優れた対症療法の医学であるといえます。
治療行為自体は西洋医学以外にも、東洋医学やカイロプラクティック、オステオロジー、キネオロジーなどの整体系、ホメオパシーなどの波動系、オーソモレキュラーなどの栄養医学系など色々あります。しかしそのどれもが現疾患の治療という点では対症療法であり、そのアプローチ法に違いがあるだけです。そして対症療法である限り、どれも似たようなものであり、同類に過ぎません。
全ての疾患には原因があります。人体に疾患を引き起こす原因を知り、その原因を可能な限り排除すれば、疾患の大部分は予防できます。これが本質的な予防の考え方です。例えばむし歯、歯周病、不正咬合などの口腔疾患の原因は誤った食生活、具体的には糖質過多と栄養欠乏ですから、誤った食生活を正すことで、これら疾患を予防することが可能です。これが当クリニックの予防歯科の考え方です。
そしてまた、疾患の原因が何であるか分かるなら、もうすでに何らかの疾患が発症してしまった人であっても、治療より先に、まずはその原因を除去すべきでしょう。予防の考え方は病気になっていない人はもちろん、すでに病気になってしまった人にとっても必要なのです。
しかし残念ながら、現在の西洋医学では原因の除去という予防の考え方は全く存在しません。存在しないものに期待することは間違いです。対症療法のみで対応するならば、一時的には良くなるかもしれませんが、長期的にみればかえってひどくなっていく事でしょう。そこで西洋医学以外のアプローチを試みたって無駄でしかありません。対症療法である限り、原因は決して除去されることは無く、そこに救いはありません。
疾患の原因やその本質を知るためには、人間本来の健康とはどういうものであるかを知る必要があります。そして健康の秘訣は健康な人から学べ、というのが僕の考え方です。玄米菜食で健康を維持している先住民族や伝統集団は古今東西存在せず、五井野プロシージャ―は単なる対症療法であり、それを飲んでこなかったからガンになったわけでは決してありません。
健康で優れた肉体を持つ先住民族はどういった生活をしているのか、どういう食生活なのかを知ることで、予防の本質を知ることができます。予防の本質を知らないから、西洋医学のカモにされたり、代替医療に騙されたりするのです。というわけで、物事の本質を見抜く目を持ちましょう。それはそんなに難しいことではありません。ただ、あるがままの姿をあるがままで受け入れれば良いのです。