製薬会社ってすごく儲かっていて羨ましいですね。製薬会社が儲かるということは、薬が
売れるということ。薬が売れるということは、たくさんの人が薬を飲んでいるということ
。薬を飲んでいる人が多いということはそれだけ社会に病気が蔓延しているということ。
というわけで、社会に病気がこれほどまでに蔓延している理由について説明します。
僕的にはタバコのCMやお酒のCMがけしからんというのなら、製薬会社のCMや清涼飲料水やお菓子メーカーのCMの方がもっとけしからんと思うんですけどね。それは置いておいて、例として糖尿病についてみていきましょう。
糖尿病は贅沢病として昔から知られていました。糖尿病治療のガイドラインとして、1916年に出版された「ジョスリン糖尿病学」によれば、糖尿病治療のための食事療法として、炭水化物(糖質)は総摂取カロリーの20%が標準という記載があります。これは今の考え方からみると、立派な糖質制限です。20世紀初頭までは、糖尿病には糖質制限が基本的な治療法でした。
ところが1921年にインスリンが分離、同定されると、1922年にイーライリリー社が「アイレチン」という名でインスリン製剤を販売し始めました。インスリンは糖尿病の特効薬として、瞬く間に世界に広まっていき、イーライリリー社は巨額の利益を上げました。
さらに1930年代から40年代にかけ、各製薬会社からインスリンの血中移行速度を調節した、速効型インスリン製剤、中間型インスリン製剤が開発され、糖尿病治療は投薬治療主体となっていきました。
話は飛んで1950年、アメリカ糖尿病学会(ADA)が発表した初めての(第一回目の)糖尿病治療のガイドラインを見てみると、炭水化物は総摂取カロリーの40%と、ジョスリン糖尿病学の記載の倍に跳ね上がっています。さらに1971年のガイドラインでは炭水化物45%、1986年のガイドラインでは60%と、ガイドラインの改訂を重ねるうちにどんどん増えていきました。何だか胡散臭いですね。
この間に一体製薬業界に何が起こったのでしょう?
1938年のエリクシール事件をきっかけに、アメリカでは連邦食品医薬品化粧品法を成立。製薬会社の開発した新薬が特許や独占販売権によって手厚く保護される代わりに、サプリメントは医薬品として認められなくなりました。製薬会社はその経済力をバックに大学の基礎研究を研究助成という形で取り込んでいき、新薬開発のみならず、食と疾患との関係について研究するようになりました。
食と疾患との関係は栄養学の創始者である佐伯矩や、佐伯栄養学に影響を受けた世界の研究者が詳しいところまで調べていました。佐伯の影響を受けた研究者の一人に、アメリカ人のW.A.プライス博士もいました。プライス博士は先住民族の食と健康との関係から、慢性疾患の原因は砂糖、精製穀物、保存食品、植物性油であることを突き止めました。
長くなったから、続きは次回で。