巷で最近ブームの食事法には、糖質制限をはじめ、MEC食、ケトジェニック、原始人食
、断糖肉食などがあります。これってどう違うの?と思われる方も多いでしょう。
一つ一つを丁寧に見ていけば、各食事法のベースとなる理論はどれも似通っています。各食事法の違いは、理論の違いというよりはその食事法が生まれた背景にあるといって良いでしょう。であるならば、重要なのはどの食事法が正しいかというよりも、その背景の理論を理解すること。そうすれば自分が取り入れるべき食事法が自ずと分かってくるはずです。
糖質制限が生まれた背景には、糖質過多の食生活によって肥満や様々な慢性疾患が引き起こされるということが分かってきたことがあります。糖質は人間にとって本来必要ないものであり、なおかつ摂りすぎることによって様々な問題が引き起こされるのであれば、糖質を摂らなければ良い、というのが糖質制限の基本的な考え方です。
糖質制限が日本に紹介されるまでは、日本人の多くは厚生労働省やWHOの出す指針や、あるいは自然食や玄米菜食のような菜食系がヘルシーというイメージを持っていました。ですから糖質制限の考え方は多くの日本人に衝撃を与えました。
糖質制限は今までの常識を覆す画期的な食事法であり、さらにダイエットや糖尿病の改善などに劇的な効果を表したことで、着実に日本人に知られるようになり、受け入れられていきました。糖質制限を推奨する医療関係者も増えてきて、にわかにブームとなっていきました。
しかし糖質制限は、「糖質さえ制限すれば良い」という、誤ったイメージを持たれるようにもなりました。今までの食生活をなるべく変えず、糖質の多い食品をただ「低糖質」食品に置き換えただけの、「なんちゃって」糖質制限が氾濫し始めました。低糖質パン、低糖質麺、挙句の果てに低糖質スイーツなんてものまで出現する始末。大抵こういうものは添加物まみれですから、今度は別の問題が起こるようになってしまいました。
現代人の食生活の問題は、糖質過多だけではありません。もう一つ重要な問題に、栄養欠乏があります。この飽食の世の中で、栄養欠乏が蔓延しているなんて、にわかには信じがたいかもしれません。しかし現代型、もしくは新型栄養欠乏によって、様々な体調不良や疾患が起こっているのです。特に現代女性に多くみられる栄養欠乏に、鉄欠乏があります。他にもタンパク質、ビタミンB群、亜鉛などの欠乏もよく見かけます。
こういった新型栄養欠乏に対し、栄養豊富な食品を積極的に摂ろうという考えのもと生まれたのが、MEC食であり、断糖肉食などの肉食系食事法です。というのも、動物性食品と植物性食品とでは、圧倒的に動物性食品の方が人間に必要な栄養素をバランスよく豊富に含んでいるからです。
現代人の抱える栄養上の問題として、糖質過多と栄養欠乏があります。そして糖質過多には糖質制限が、栄養欠乏にはMEC食や断糖肉食といった肉食(動物性食品)中心の食事法がその解決法として提示されました。しかしなお、問題が残されています。その話は次回書きます。