本人というのはとかく自分のことを語りたがりません。良いものを作っていれば、良い
仕事をしていれば、黙っていても人は分かってくれる、伝わるものだと信じたがります。
例えば僕の職業である歯科医師なら、良い治療をしていれば、口コミで評判が広まって繁
盛すると考える人が多いです。
でも僕はこの考え方を良しとしません。プロフェッショナルとしての仕事にこだわることは、社会人なら当たり前。そこに妥協や言い訳なんて必要ありません。しかし、良い仕事は自然と伝わるとか、評判が自然に広まるとかいう考え方は、安易に過ぎる考え方ですし、何より親切ではありません。
自分の仕事に自信と誇りを持っているのであればなおのこと、自分の持っている技術や能力をアピールすべきなのです。人に伝える努力をしなければ、伝わるものも伝わりません。
一般的に専門家というものは、専門領域において高度な技術や能力を持っていますが、それを必要としている人は限られます。例えば歯科医療であれば、お口の中に何ら問題の無い人にとっては全く必要としていません。しかし一方で必要な人にとって、正確な情報や正しい知識が与えられているかといえば、そうとも限りません。
歯科医療が必要な人に、良質の歯科医療とはどういうもの?良い歯医者の見分け方とは?などの知識が無いと、悪い歯医者に騙され、利用され、ぼったくられたりします。それを「ちゃんと調べない奴が悪いのだ」とか、「情報収集を怠った報いだ」なんて切り捨てる人は非情な人間だし、少なく見積もっても親切じゃありませんよね。
だから情報発信は自分のためではなく、情報を求めている人のため、世のため人のために行うのです。それが巡り巡って自分に返ってきます。そういう行為は何らやましい事では無く、むしろ率先して社会貢献を行っているのだと考えましょう。
よりたくさんの人を救ったり喜ばせたりした分だけ、自分にも幸せが巡ってくる。お金は単にそういう活動を媒介しているだけ、と考えれば、お金を儲けることだって素晴らしいことでしょう。大切なのは世の中に尽くすこと。世の中に幸せを与えた分だけ、自分の人生が幸せになっていくのですから、プロフェッショナルとしての自分を高めていくのみならず、専門家としての知識を世に惜しみなく与え続けていきましょう。そういう人が増えていけば、世の中はもっと幸せで満ち溢れていくのですから。