医療法人社団楡樹会 稲毛エルム歯科クリニック

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妊娠と鉄


鉄は人間に必須の微量ミネラルであり、血液中のヘモグロビンの主
原料であり、筋繊維のミオグロビンにも必要であり、コラーゲンの
合成にも不可欠な、非常に重要な元素です。
人間にとって非常に重要な鉄はまた、他の生物にとっても生存に必
要なミネラルでもあります。

鉄は細菌の生存と増殖にも必要なために、生体から鉄を奪おうとし
ます。
生体は細菌に鉄を渡すまいとラクトフェリンを出し、細菌もまた、
鉄を奪おうとシデロフォアを出す。
鉄を巡って、日々人間と細菌との仁義なき戦いが繰り広げられてい
るわけですね。

そんな非常に重要な元素である鉄は、生体にとっては非常に吸収が
難しい栄養素でもあります。
様々な食材に鉄は含まれていますが、一日10~15mg鉄を摂取
したとして、生体に取り込むことができるのはわずか1mg程度と
いわれています。
それに対し、汗や尿や便で失われる鉄もまた、1日につき1mg程
といわれています。

これだけ吸収が難しい鉄ですが、日本人女性の一日平均摂取量は7~8mgといわれており、鉄の摂取不足が懸念されています。
さらに、有経の女性は月経で鉄を失うので、さらに鉄の喪失量が多
くなります。
女性では一般的に、毎日の鉄の喪失量+月経での鉄の喪失量が約3
0mgで、月に60mgの鉄を喪失するといわれています。
一日平均では2mgという事になりますね。
そうであるなら、女性は毎日の食事から、鉄を2mgは摂る必要が
あるのです。

一日10~15mgの鉄を食事からとっても吸収されるのはたった
1mg程度。
更に女性は月経がある。
このことから、女性に貧血が多いことが良く分かると思います。

このように生体にとって非常に重要である鉄は、また非常に摂取が
難しい物でもあります。
ですので、生体には鉄を貯蔵するシステムが備わっています。
鉄は通常、赤血球中のヘモグロビンとして存在していますが、他に
も組織鉄(ミオグロビンやコラーゲンなど)、血清鉄(ヘモグロビ
ン以外の血液中の鉄)、そして貯蔵鉄として生体に存在しています

貯蔵鉄は、小腸で鉄が吸収される際、フェリチンという形で小腸に
貯蔵されます。
そして、生体で鉄が必要になった時に、血液に乗せて必要な場所へ
と送るのです。
このフェリチンは、一般的な保険適応の血液検査や健康診断での血
液検査などでは測定しませんが、生体内の鉄の貯蔵量をはかる重要
な指標です。
妊娠前の女性であれば、このフェリチンの値が少なくとも100n
g/ml以上は欲しいところです。

女性は妊娠すると、胎児の成長・発育のために特別な栄養を必要と
します。
とはいうものの、妊娠の初期にはつわりがあったりして、なかなか
思うように栄養摂取が出来ないものです。
ですから、妊娠前の栄養状態の改善が非常に重要となりますが、特
に鉄は吸収が難しく、十分な鉄の貯蔵をするのは非常に困難です。
妊娠してから十分に鉄を摂ろうとしても、遅いのです。
ですから、現住民族の多くは妊娠前の6か月に特別の栄養摂取を義
務付けているのです。

妊娠すると、母体は胎児に優先的に鉄を送ります。
母体の鉄が足りない場合は、母体の赤血球を犠牲にしてまで胎児に
鉄を送ります。
ですから、妊娠中に貧血になる人は、非常に重篤な鉄欠乏なのです

そうやって母体の鉄をどんどん胎児に与えるから、母体は貧血にな
り、つわりはひどくなります。
母体の血液量+胎盤に回す血液量が必要なので、母体の血液量は増
え、さらに心臓にも負担がかかります。
血液中のヘモグロビンが不足するだけでなく、組織鉄も不足するた
め皮膚はガサガサになり、うつなどの神経症状が現れます。
血管のコラーゲン合成が上手くいかなくなるため、下肢に静脈瘤が
現れたりすることがあれば、それは鉄欠乏が相当に深刻であるとい
う事です。

さらに鉄が足りなくなり、これ以上母体が鉄を胎児に回せなくなる
と、胎児は母体から鉄をもらうことをあきらめ、自力で摂取しよう
とします。
すなわち、切迫早産ですね。
これは、鉄が足りないから生まれてくるしかないという状況に、胎
児が追い込まれた証拠なのです。
だから、薬で無理やり早産を抑えることはやってはいけません。
妊娠前の鉄の十分な摂取が必要なことが、これでお分かりいただけ
たでしょうか。

そうなると、妊娠前に鉄を十分摂取しようと思うでしょうが、いっ
たいどれくらい摂ればいいのでしょうか。
それは、貯蔵鉄を増加させるのに十分な量の目安として、一日3m
gが推奨されています。
さらに、定期的なフェリチンの測定を行い、100ng/
ml以上になれば、安心して妊娠しても良いといえるでしょう。

女性が慢性的な鉄不足になると、妊娠しづらくなります。
女性が不妊になるのは、妊娠できないのではなくて、栄養が十分に
足りていないから、“妊娠してはいけない”という、体からの合図
なのです。


投稿日:2013年3月17日  カテゴリー:予防歯科, 院長ブログ

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