この頃ホッファーは統合失調症のナイアシンを中心とした、栄養療法を行っていました。ホッファーの元に送られてきたガン患者の栄養状態はひどく、ホッファーはこれらの患者に、向精神薬や睡眠薬などの投与は極力行わず、精神疾患の栄養療法も兼ねて栄養素の投与による栄養補給を行いました。すると、ガン患者の精神状態が著しく改善されました。
しばらくすると、ガンの治療を行っている医者があることに気が付きました。同じようなガンの状態である患者でも、ホッファーの元で精神治療を受けた患者は、著しく生存期間が延びていたのです。また、抗ガン剤の反応も良くなっているのでした。通常抗ガン剤治療は、腫瘍の縮小効果は確認できても、患者の体力的な問題から継続することができず、体力の回復を待つ間休薬期間を設けるのが一般的でした。しかし、ホッファーの元で治療を受けている患者は、体力の低下が少なかったり、回復が早かったのです。
ホッファー自身も、栄養療法でガン患者の生存期間が著しく伸びている事に気付いていました。またライナス・ポーリングからビタミンCの効能を聞かされていたので、試しにビタミンCの大量投与を行ってみました。抗ガン剤は大量の活性酸素を体内に発生させることが分かっていましたから、必要量以上のビタミンCの大量投与は活性酸素の消去に有意義であると考えたのです。
すると、ビタミンC大量投与群では更なる生存期間の延長が認められ、しかも生活の質の改善でもまた、非常に有効であることが分かったのです。これが、今日のオーソモレキュラー療法の代表的な治療法の一つである、ビタミンCの大量点滴療法へとつながります。