食べない草は、牛や羊にとって毒が含まれる草です。植物は動物に襲われたときに逃げ出すための足や翼を持っていません。そのため、自分の身を守るために、毒を体の中に溜めこみます。牛や羊はこの毒の味を感じると、まずいと判断して食べなくなるのです。
そうはいっても牛も羊も生きていくためには毒に対抗しなくてはなりません。植物が作る毒を解毒する能力を牛や羊が持つようになると、その草を食べることができるようになりますから、もはやその味をまずいとは感じなくなります。
味覚的に美味しいと感じるのは、その食べ物を安心して食べても良いという事を表し、またまずいという味覚は、その食べ物に毒が含まれているから、食べると危険という合図なのです。では、肉や魚をまずいと感じるのは、なぜなのでしょう?
肉や魚をまずいと感じる人は、基本的に低タンパク低脂質で、高炭水化物食を長く続けてきたような人たちです。菜食主義、ヴィーガン、フルータリアン、マクロビオティック、玄米菜食などを続けている人たちに多いですね。
このような人たちは、長期にわたる低タンパク食により、胃の状態が正常に働けなくなっています。胃という臓器は主にタンパク質を消化するための臓器です。そして胃もまた、タンパク質でできています。ですから胃はタンパク質を常に摂り続けることによって、健全な状態を保つことができるようになっています。
胃は慢性的な低タンパク状態に置かれると、胃酸の分泌が低下していきます。それとともに胃粘膜上皮細胞の増殖、分化のスピードも低下し、胃壁が菲薄化します。この状態を、胃萎縮と呼びます。胃萎縮になると、タンパク質の消化が上手く行えなくなってしまいます。
胃酸はまた、食物中に含まれる有害な細菌を殺す役割も持っています。感染防御に非常に重要な働きを持つ胃の機能が低下すると、細菌感染が起こりやすくなります。
肉や魚介類は、豊富な栄養が含まれる半面、非常に腐敗に弱くなっています。栄養豊富な食べ物ほど、腐りやすい物でもあるのです。ですから胃の機能が低下している人は、感染に非常に敏感になり、細菌感染の原因となりやすい食べ物の腐敗の兆候に非常に敏感になるのです。すなわち、生臭い匂いに非常に敏感になるという事です。
ですから肉や魚が苦手な人は、今の現状の体質に適応して、そうなっているに過ぎません。そしてそれを改善するためには、良質のタンパク質をしっかりと摂る以外に方法はありません。極力においの少ない、新鮮なお肉や魚介類を食べるようにすることで、徐々に胃の機能が回復してくれば、それに伴って生臭い匂いも気にならなくなっていくでしょう。それでも臭いと感じるならば、きっとその食べ物は腐っていますから、無理に食べる必要はありません。