人間という動物の特徴は、他の動物に比べひときわ大きな脳を持っているということ。脳
は人間の総重量の約2.5%を占めるにすぎないのに、基礎代謝量の約20%ものエネル
ギーを消費します。同じ類人猿の中でも特に大きな脳を持っているチンパンジーでさえ、
脳は基礎代謝量の13%を消費するに過ぎません。
人間の脳は大食らいで、かつ考えている時も、あまり考えていない時も、寝てる時ですら消費するエネルギーはたいして変わりません。だから人間は、脳に安定的にエネルギーを供給し続けるように進化してきました。
脳もまた、大量のエネルギーを摂り込み続けるために、自らの能力を活かすようになりました。ということは、脳は、いかに効率的に大量のエネルギーを摂り込むか、また、いかにエネルギーのロスを抑えるか、といったことを常に考え、その目的に沿って肉体を活動させているのです。
脳は高エネルギーのものを摂取することを好み、かつ、いかに肉体活動を少なくするか、すなわち「怠ける」かを考えているということです。この、いかに怠けつつ、効率的にエネルギー摂取するかという脳の特性が、道具や技術を発展させ、文明社会を作ってきたのだといえるでしょう。
だから、あなたが怠け者でぐうたらなのも、ある意味仕方がないのかもしれません。だって、人間の脳がそう出来ているのですから。
でも、人間の中には働き者だったり、がんばり屋だったりする人がいます。この人の脳は人と違うのでしょうか?いや、多分同じです。ただしこういう人は、今頑張ることで将来怠けられると考えているから頑張るのでしょう。結局怠けたいという脳の欲求自体は変わらないのです。
脳はまた、吸収効率が良く、かつエネルギーとしてすぐ使える食べ物を欲しがります。甘い物が欲しくなるのは、まさにこの脳の特性ゆえです。
人間は脳が異常に発達した、とてもユニークな生き物です。この脳の特性と本能を理解すれば、人間という生き物が、複雑そうで実は単純な生き物だということが分かることでしょう。