多くの人は普段の食事に対して、あまり意識はしていないでしょう。食べる目的は、おな
かが空いたからとか、美味しい物を食べたいからなどでしょう。人によっては、健康にな
りたいとか、キレイになりたいとか、霊性を高めたいとかいう目的もあるかもしれません
。
太っている人は、痩せるためにダイエットと称して特定の食事法を試したりします。病気の人は食事療法としての食事法を実践したりします。そのような目的で、マクロビオティックや玄米菜食、ナチュラルハイジーン、アトキンソンダイエット、糖質制限、ケトジェニックダイエット、MEC食などが生まれました。
でも僕は、食は人間にとって生きるための行為であり、食べることは生きることだと考えます。ですから食に生きること以上の目的や目標を持つべきではないと考えます。また、人は食のみに生きるにあらずとも考えますから、食に支配されるような生き方も避けるべきと思います。
僕が予防歯科実践法として指導している先住民食は、予防歯科から生まれた食事法です。歯科疾患を予防するというのみならず、さまざまな慢性疾患や精神疾患の予防にも効果がある食事法と考えています。しかし食の本質は生きることにあるのですから、先住民食は人間として生きる上で実践すべき食事法と考えています。
先住民食では、我慢しない、頑張らない、目標を持たないというのがモットーです。人間誰しも我慢は続きません。先住民食では、依存性のある食べ物(特に甘い物)に対し、我慢するのでは無く、興味を無くすようにしていきます。食べたいと思わなくなれば、我慢する必要はありません。我慢していませんから、頑張る必要もありません。食べたいものを、好きなだけ食べて良いのです。
そしてまた、病気を改善したいとか、目標体重まで痩せたいとか、そういう目標を持ってはいけないと考えています。目標を持つのは頑張るためです。そして目標のために頑張って、目標が達成されれば、頑張る事をやめてしまいます。それなら最初から目標なんて持たなければ良い。病気ならそれを受け入れること。太っている自分も受け入れること。でもそこから人間本来の食に戻ったら、どれだけ健康になれるか、どれだけ痩せるか、ワクワクしながら実験するのは大いに結構だと思います。しかしあくまで健康やダイエットを目標にしてはいけません。どんな時でも自分を受け入れ、その上で自分に起こる変化をもまた、楽しみつつ受け入れるべきなのです。
食は生きるための行為であり、人生そのものです。人生を楽しく生きるか、辛く生きるかはその人次第。我慢したり、頑張ったり、目標を作って自分を追い込んだりする人生よりも、今ある自分を受け入れて、人間本来の生き方を実践しつつ、体調や気分の変化を楽しんでいく方が、より実りある人生になりますよ。