血糖値とは血液中のブドウ糖の濃度です。血糖値は通常80~100mg/
dlほどに保たれています。糖質を摂取すると血糖値は上昇しますが、健康な人では140
mg/dlを越えることはありません。
糖尿病やその前段階である低血糖症になると、血糖値のコントロールが乱れ、高血糖状態になります。ブドウ糖は細胞のエネルギー源なのですが、高血糖になると危険な状態となります。というのも、ブドウ糖が細胞を傷つけ(糖化し)、炎症を引き起こすからです。
血糖値が200mg/dlを越えると血管内皮に障害が起こり、特に220mg/dl以上になると即座に血管内皮の障害が増加するといわれています。糖尿病の合併症は、この血管内皮の障害によって起こるのです。
通常は高血糖にならないように、血糖値が上がると膵臓からインスリンが分泌され、血糖値が下がります。しかし血糖調節異常になると、高くなった血糖値をうまく下げることが出来なくなります。このようなときに生体は高血糖から身体を守るため、尿からブドウ糖を排泄します。血糖値が180mg/dlを超えると、ブドウ糖が尿から排泄され始めます。これが尿糖です。
ただし、腎臓からブドウ糖を排泄するのは腎臓にとって大きな負担となります。腎臓自体、毛細血管の塊のような器官ですから、高血糖によって毛細血管は障害され、高血糖状態が続くと腎不全となってしまいます。これが糖尿病性腎症発症のメカニズムです。
高血糖状態でブドウ糖が排泄されるのは、尿だけではありません。皮膚にある皮脂腺や、お口の中の唾液腺、粘膜の粘液線などからもブドウ糖が排泄されます。
このため、高血糖状態で皮脂腺からブドウ糖が排泄されると、ブドウ糖が細菌繁殖を招いてニキビとなったり、また口腔内や女性の膣粘膜からブドウ糖が排泄されるとカンジダ菌が異常繁殖してカンジダ症を引き起こしたりします。
逆にいえば、ニキビで悩んでいる人や、カンジダ症の人は、その陰に高血糖状態があることが予想されます。このように糖質の過剰摂取、特に砂糖や異性化糖などの甘い物は全身に様々な悪影響を与える危険な物質なので、摂らないようにすべきです。