当クリニックの食事指導で皆さん苦労するのが、この「砂糖断ち」です。砂糖に限らず、甘い物は全て一切摂らないようにすることが、先住民食実践においては非常に重要です。しかし、これができずに挫折する人も残念ながらいます。
砂糖断ちはそのものズバリ、砂糖はもちろん甘い物は何であれ、一切断つことです。甘い物を一切断って一月もすれば、甘い物に対する欲求が無くなります。一度甘い物に対する欲求が無くなってしまえば、我慢しなくて済みますから、そこからは無理なくずっと甘い物を摂らないでいられるようになります。
ところが多くの人は、物心ついたときから甘い物にまみれて生きてきているため、甘い物を摂らないで生活するという感覚が、なかなか理解できません。これがタバコなら、タバコを吸い始める前の状態になることをイメージすることで、タバコ依存から脱却した状態をイメージしやすいのですが(さすがに物心つく前からタバコを吸っている人はなかなかいません)、甘い物の場合はそのイメージを持ちにくいのです。
甘い物を欲しなくなるというイメージを持ちにくいということは、ゴールが見えにくいということ。砂糖依存の人が甘い物を我慢するというのは、相当な忍耐力や根性が必要です。しかし、人間我慢には限界があります。ゴールがイメージできなければ、挫折するのは当然の事なのです。
それでも何とか一か月我慢し続けることに成功すれば、気付いたら以前ほど甘い物を欲しなくなっている自分に気が付きます。そうなればしめたもの、後は頑張って我慢し続けなくても、自然と甘い物を摂らないでいられるようになります。
この時点で果物を少量摂るくらいであれば、それほど問題はありません。しかし、チョコレートやケーキ、アイスクリームのような砂糖がたくさん入っている甘い物を食べると、途端にまた砂糖中毒が復活してしまいます。そしてまた、砂糖依存から脱却しようとすると、また一か月もの我慢の生活をしなくてはいけなくなるのです。
砂糖断ちは中途半端な気持ちでは成功しません。周りや家族の協力が必要です。そしてまた、一度砂糖中毒から脱却しても、一度甘い物を口にしてしまうと、途端に依存症に逆戻りしてしまいます。だからこそ、強い意志が必要なのです。砂糖断ちと同時にお肉、魚介類、卵、チーズなどをたくさん摂ることで栄養欠乏が改善されれば、心身はみるみる健康になり、生まれかわった自分を実感することが出来るでしょう。それが、先住民食の威力なのです。