歯ぐきが腫れたり、歯を支える骨(歯槽骨)が破壊されたりする病気を「歯周病」といい
ます。日本では30歳以上80歳未満の86%に、何らかの歯周疾患があります。
歯医者で歯周病といわれ、治療に通っても一向に良くならず、むしろ悪化しているという人はウチの外来でも良く見かけます。それもそのはず、一般的な歯医者が行っている歯周病の治療は、歯周病を改善するどころか、むしろ増悪させるものだからです。
歯周病は歯ぐきのバリアー機能が破たんすることによって起こります。歯ぐきが腫れて出血しているのは、炎症が起こっているからです。ここで粘膜の炎症を治癒させるためにはどうしたら良いでしょうか?これを理解するには、夏井睦氏の著書「傷はぜったい消毒するな(光文社新書)」が非常に参考になります。まだ読んでいない人は、ぜひ読んでみてください。
歯ぐきのバリアー機能が破たんし、炎症が起こっているということは、身体は壊れた歯ぐきを修復しようとしているということです。腫れた歯ぐきは傷口のようなもの。傷を早く、キレイに治すにはどうすれば良いか。夏井先生によれば、湿潤療法が良いということになります。すなわち、傷口を消毒せず、刺激せず、濡れた状態にしてそっとしておくのが良いということです。
ですから歯ぐきの炎症には、歯ブラシを当てず、歯磨き粉やマウスウォッシュ剤といった化学薬品を一切つけず、濡れた状態(口の中は濡れているのが当たり前)でそっとしておくのが一番良いということです。
歯医者で歯ぐきの治癒を妨げる歯石を除去することは、歯周病の治療には必要です。しかし、歯ぐきを消毒したりしてはいけません。皮膚よりさらにデリケートな歯ぐきの粘膜は、腫れている時にいじったり、マッサージしたり、塩を塗り込んだりしちゃダメなんですよ。傷口に塩塗るバカがどこにいるんですか!
昨今の歯磨き指導やオーラルケア製品の氾濫を見るにつけ、これらが歯周病を作っているのだろうと僕は思っています。歯科メーカーや歯医者の思惑にまんまと乗せられて、良いカモになっていることに、そろそろ皆さんも気づいた方が良いのではないでしょうか?