解糖系によって2ATPとピルビン酸が作られます。このピルビン酸はアセチルCoAとなり、クエン酸となって細胞内にあるミトコンドリアに入ります。ミトコンドリア内では第二の経路であるクエン酸回路(TCAサイクル)によって、クエン酸からさらにATPが産生されますが、これは酸素を必要とします。アセチルCoAから12個のATPを作り出すことができるので、非常に効率が良いのです。
一方で、解糖系によって作られたピルビン酸がクエン酸に変換されないと、ピルビン酸は乳酸となってしまいます。乳酸はミトコンドリアに入ることができないため、組織に蓄積してしまいます。ピルビン酸からクエン酸への変換には、ビタミンB1、ビタミンB2、パントテン酸、ナイアシンが必要なので、これらが欠乏すると、乳酸の移行が進むとともに、ミトコンドリアが上手く働けなくなります。
というわけで、クエン酸を摂ると、いきなりミトコンドリアのクエン酸回路からATP産生ができ、またピルビン酸を通らないので乳酸が作られません。そしてまた、ガン細胞では通常ミトコンドリアが上手く働けませんから、ガン細胞に利用されることは無いというわけですね。
でも、通常の食生活で糖質を控え、肉や魚をたくさん取っていれば、ナイアシンも豊富に摂れますし、ミトコンドリアでのエネルギー産生も効率よく行えます。ですからことさらにクエン酸をたくさん摂る必要はないと、僕は思いますよ。